レポート

「パフォーマンス・マネジメント革新フォーラム2018​」開催レポート

日本企業も舵を切り始めた
パフォーマンス・マネジメント革新
その現実と未来を見据える
 ~グロース・マインドセットを育む挑戦から、私たちは何を学び、どう踏み出すのか~

開催レポート

2018年2月19日、今年で3回目となる『パフォーマンス・マネジメント革新フォーラム2018』を、お茶の水のソラシティにおいて開催いたしました。昨年の11月頃から社内で準備してきたイベントですが、今回は200人を超える経営や人事、人と組織のコンサルティングに関わる皆様にご参加いただき、例年は余裕があった会場が満席になる状況になりました。1日を通して参加者の皆さんとフォーラムをご一緒し、日本での期待の高まりを感じる1日になりました。後日、詳細なレポートは共有されますので、ここでは簡単に、フォーラムを写真で振り返りたいと思います。

参加者のみなさんのチェックインのご様子です。フォーラムの開始から皆さんの楽しそうな表情が伺えます。

​オープニング

冒頭、今回のフォーラムの目的が共有されました。過去の2回のフォーラムを経て、3回目となる今回は、これまで以上に日本での実践に繋げることを目的として、参加者の皆さんが、フォーラムの終了後に、それぞれの組織に学びを持ち帰り、そして具体的な一歩を生み出していただくことを意図したものになっています。

​パフォーマンス・マネジメント革新のこれまでの経緯と全体像

講演の最初は、弊社ヒューマンバリューの阿諏訪から、パフォーマンス・マネジメント革新のこれまでの経緯と全体像について共有させていただきました。フォーラム1日をより気づきや学びの多い時間にしていただくための、全体マップとなる情報提供をさせていただきました。

​▼世界のパフォーマンス・マネジメントの潮流について語る阿諏訪。

​▼海外と対比して、日本の人事制度の成り立ちと、パフォーマンス・マネジメントの潮流について重ね合わせ、日本の潮流について読み解く阿諏訪。

世界と日本の置かれている状況は異なるが、それぞれが最終的に目指すであろう方向性は、どちらも「人中心の新しいマネジメント」に収斂するのではないかというお話をさせていただきました。

人の主体性について​​脳科学の観点から考える

今回の新しい取り組みが、人間の主体性が脳内でどのように生み出されているのかについて研究を行っていらっしゃる玉川大学脳科学研究所の松元教授をお招きしたことです。松本研究室の研究成果は、海外のパフォーマンス・マネジメント革新の取り組みにおいても参考文献として取り上げられており、また、現在取り組まれている人間の社会性についての脳の研究は、今後の人や組織の分野で応用が期待される最先端の取り組みです。

松元教授の講演の冒頭では、外発的な報酬(少額のインセンティブ)が、人間の内発的な動機づけを失わせてしまうというアンダーマイニング効果について、fMRIを使った調査研究により、実際の脳内の動機づけを司る活動が消失する実験結果についてご紹介いただきました。そして会場は、どよめきに包まれました。

講演後は、阿諏訪とのパネルダイアログで、共有いただいた研究内容についてのさらなる探求を行いました。 松元教授からは、「人間が主体的に生きられる根拠はなにか?」という、人材や組織の開発に関わる我々にとっても非常に興味のあるテーマを、科学の力で明らかにするというビジョンについて熱い想いを共有いただきました。さらに、科学的な裏付けがあるわけではないと前置かれた上で、社員が主体的に生きられる条件として、組織が社員の選択肢を用意するだけでなく、一人ひとりが自らの選択肢を作っていけるような組織が必要ではないかといった、貴重な松元教授のご意見が伺えました。

海外の最新動向

続いて、ヒューマンバリューの研究活動の一環として、継続的にリサーチを続けている海外のパフォーマンス・マネジメントの動向を、川口、松山、霜山から共有させていただきました。

ヒューマンバリューの川口と松山からは、「企業内で進む脳科学の知見の活用」というテーマで昨年参加した NeuroLeadership Summit 2017の参加報告をさせていただきました。 VUCAの(変化の激しい)時代を越えて、Distruptive(破壊的)な時代というキーワードがテーマとして叫ばれるようになり、そうした時代の中でどのようにして人材育成や組織開発を行なっていくのかについて、NeuroLeadership Summit 2017のセッションの参加を踏まえ共有させていただきました。

NeuroLeadership Summit 2017に参加した松山からは、インクルージョンや、チームのありかたについてを最先端の脳科学によって明らかにしようとする、海外の取り組みについて共有させていただきました。

ヒューマンバリューの霜山からは、「企業におけるパフォーマンス・マネジメント革新の動き」というテーマで、Performance Management Innovation Conference 2017とPerformance Management Conference 2017の参加報告をさせていただきました。 海外の企業が先んじてパフォーマンス・マネジメントの大きな見直しを行った背景や、カンファレンスで共有されていた具体的な取り組み内容について、ITTやL’Oreal USAなどの事例を共有させていただきました。

革新に挑戦している3社の現在と未来

米国を中心とした海外の企業だけでなく、すでに日本でも多くの企業で、新たなパフォーマンス・マネジメントの構築に向けた取り組みが始まっています。 今回のフォーラムは、そうした今まさに日本で取り組んでいる企業の実践者の方に登壇いただき、その状況について共有いただきました。 博報堂DYデジタル様、日本コカ・コーラ様、福島トヨペット様の、各社から実際にこうした取り組みを推進されている方のリアルなストーリーを共有いただきました。

株式会社博報堂DYデジタルの小澤学さんからは、極めて変化の激しいデジタル広告業界の中で、企業としてグロース・マインドセットを育くむ事が命題になった背景や、まだ日本企業の取り組み事例としては少ないレーティングと相対評価を完全に廃止するという、大胆なパフォーマンス・マネジメントの革新にどうして踏み切れたのかについて、さらには、その後、現在生まれている社内の変化について、実際のアンケート結果も踏まえて共有いただきました。

■ 株式会社博報堂DYデジタル 小澤 学氏

日本コカ・コーラ株式会社の大島千春さんは、社員一人ひとりがビジネス戦略実行のための最も大事な業務に取り組むことを目的として2017年の4月からスタートした、Performance Enablementの取り組みについて共有いただきました。大島さんの、徹底して社員にとってどのようにしたらもっともシンプルで分かりやすくメッセージを伝えられるかといった視点や、社員一人ひとりのやり方を尊重し、がんじがらめにしないやり方を社員と考え一緒に成長していこうとする姿勢から、真に社員の側に立った人事の姿が垣間見れたような気がしました。

■ 日本コカ・コーラ株式会社 大島 千春氏

福島トヨペット株式会社の佐藤藍子さんは、5年前にはじまった、自動車の地域ディーラーの組織風土改革取り組みから、パフォーマンス・マネジメントの革新に至るまでのプロセスを自身の心境の変化とともに紐解かれ、その中で強いトップダウンだった企業文化が徐々に変化していくストーリーは、会場の多くの人に共感を持って聞かれていました。

■ 福島トヨペット株式会社 佐藤 藍子氏

3社からの講演の後、さらに各社から、実際に現場でパフォーマンス・マネジメントの革新に日々取り組まれているマネージャの方にご登壇いただき、お一人お一人のリアリティのある取り組みのストーリーをパネルダイアログで共有いただきました。

何名かの会場の声を聞くと、今回のフォーラムで参加の印象に一番残ったのが、実際のマネージャの声ということでした。現場のマネージャや社員がどのようにパフォーマンス・マネジメントの革新を受け止め、日々の業務の中でどのような想いで実践しているのか。今回は、事例紹介いただいた3社の特別な協力を得て、リアルなマネージャの声をパネルダイアログの中で伺うことが実現出来ました。会場の皆さんは、3名のマネージャのお話を聞いて、こうした取り組みをいかに人事部門の独りよがりにせず、現場と共に一緒になって進めていくかが大事であるかを、うかがい知ることができたのではないかと思います。 「スタッフの距離が本当に縮まった」「トップセールスマンが一人もいないのに、お店は2年連続トップの成績を残している」(福島トヨペット高橋さん)、「1on1でチームでやることを推進したら、チームのコミュニケーションが活発になり実績につながった」(日本コカ・コーラ熊崎さん)、「意識の伝達に尽きるのかな、現場のマネジメントと現場メンバーがこのフィロソフィーを共有することが前提かなと」(博報堂DYデジタル布山さん)。

​パフォーマンス・マネジメント革新のリアリティを探求する

そして、今回のフォーラムのクライマックスとして、参加者の皆さんから、会場全体で探求したい問いを集め、会場全体でダイアログを実施しました。

会場の参加者の皆さんとコ・クリエーションした探求テーマの一覧。

テーマ別の探求の前に、第3期の研究会メンバーの皆さんから、それぞれのパフォーマンス・マネジメント革新に対する想いを共有をいただきました。

参加者の皆さんは、大きなテーマ別の場所に集まり、業種、業態、立場や役割を越えてそれぞれが自らの問題意識を共有し、初めての皆さん同士でパフォーマンス・マネジメントの革新について熱を持った対話が会場全体で行われました。

クロージング

そして最後に、参加者の皆さんのこれから取り組みたい具体的な一歩が共有されました。

ここまで、フォーラムの様子を写真とともにご紹介してきました。​

3回目を迎えた今年のフォーラムでは、いよいよ日本でもパフォーマンス・マネジメントを根本から見直す取り組み事例をご紹介できるようになり、フォーラムの中で語られる内容の具体性やリアリティが一段と高まったように感じます。今回の素晴らしい形でフォーラムを終えることが出来た理由は、脳科学の最新の研究成果を共有いただいた玉川大学の松元教授、貴重な実践事例を共有いただいた、博報堂DYデジタルの小澤さん、日本コカ・コーラの大島さん、福島トヨペットの佐藤さん、そして今回スペシャルゲストとして参加いただいた博報堂DYデジタル布山さん、日本コカ・コーラ熊崎さん、福島トヨペットの高橋さん、さらには第3期のPMI研究会の皆さまが、内発的動機づけで我々ヒューマンバリューのメンバーと共に作り上げてくださったことに他ならないと思います。共に創り上げるプロセスは本当に楽しいものでした。そして、ここで新たにお会いした素晴らしい参加者のみなさんと共に、我々ヒューマンバリューとしては、今後さらに国内企業の実践事例を増やし、日本国内でのこうした取り組みを更に加速して行けるよう、日本でのパフォーマンス・マネジメントの革新を進めていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

なお、本フォーラムは、『パフォーマンス・マネジメント革新研究会』の第3期メンバーの皆さまと十数回の会合を重ね、研究をしてきたことによって開催することができました。テーマに対してオープンに真摯な探求を続けてくださった研究会メンバーの皆さまに、この場を借りて、厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございます。

<研究会メンバーの皆さま>
株式会社アイ・ラーニング       太田賢様
アデコ株式会社           土屋恵子様
株式会社Consulente HYAKUNEN   上野佐保様
日産自動車株式会社         登千加彦様、西出恵美様
日本コカ・コーラ株式会社      大島千春様
パーソルキャリア株式会社      加々美祐介様、乾宏輝様
株式会社博報堂           荻野綱重様、手嶋祐介様
パナソニック株式会社        平砂崇様、立花宏樹様
福島トヨペット株式会社        佐藤藍子様、佐藤輝明様
株式会社フルスピード        関根悠様
三菱商事株式会社          永田晃也様、渡邉恭功様
株式会社リクルートホールディングス 菊地玲様、興梠智紀様

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